ネンネの秘密日記にゃ
ムーンドリフト号の昼下がり。ネンネはいつものようにビール樽の上で丸くなって寝ている。パウト船長はビールを取りに船倉へ向かった。

ビールビール〜…ん?
ビール樽の隙間から、小さなノートがはみ出している。表紙には猫の肉球マークと「ひみつにゃ」の文字。

なんだこれ…日記か?

えーっと…「3がつ15にち。はれ。パウトがまたビールこぼしたにゃ。めんどくさいにゃ。でも…ビールのにおい、きらいじゃないにゃ」

……お?
パウト船長の目がきらりと光った。

おい!みんなちょっと来い!すげぇもん見つけた!
みんなで覗き見

船長、人の日記を読むのは規則違反です!プライバシーの侵害です!

まぁまぁ、ちょっとだけだって⚓

ピリのこと書いてあるのか!?🌶️

えーっと…「3がつ18にち。ピリのごはん、またからかったにゃ。でも…ピリが『おいしいか?』って聞いてくるかお、ちょっとかわいいにゃ」

!!!ピ、ピリは別にかわいくねぇぞ!🌶️
ピリの顔がいつもより赤い。唐辛子のせいではなさそうだ。

もこのことは〜?もこ〜?

「3がつ20にち。モココがまた寝ぼけて転がってきたにゃ。もふもふであったかいにゃ。いいまくらにゃ」

もこ〜♪ まくらもこ〜♪♪

ぐるのことは?ぐるぐる〜🌀

「3がつ22にち。グルがぐるぐる回りながらネンネのベッドを直してくれたにゃ。ぐるぐるうるさいけど…きもちいい振動で眠れるにゃ」

ぐるっ!(嬉しくてピンク色に)

…私のことは書いてあるんですか?

お、パオ気になるのか?えーっと…

「3がつ24にち。パオがネンネのブランケットをそっとかけてくれたにゃ。起きてたけど、寝たふりしたにゃ。パオ、やさしいにゃ」

!!ふ、ふんっ…当然のことをしたまでです…(照れ)
パオの耳がほんのりピンクに染まった。
ネンネ、起きる

いやー、ネンネのやつ、こんなこと思ってたのか〜
パウト船長の肩に、何か柔らかいものが触れた。

…………にゃ。

!!!
全員が凍りついた。振り返ると、ネンネが半目で立っている。

…見たにゃ?

み、見てない!見てないぞ!

ピリも見てないぞ!🌶️

もこ〜…見てないもこ〜…

ぐ、ぐるぐる…見てないぐる…🌀

…私も見ていません。規則として、プライバシーは尊重すべきですから。
全員がそっぽを向いた。ネンネの視線がゆっくりとパウトの手元に向かう。

…パウト。

はいっ!

…手に持ってるそれ、なにかにゃ?
パウト船長の手には、しっかりとネンネの日記が握られていた。
ネンネの頬がぷくーっと膨らんだ。…いつもは眠そうな顔しか見せないネンネの、珍しい怒り顔。

…今夜はパウトのベッドで寝るにゃ。パウトは甲板にゃ。

えぇぇぇ!?寒いって!伝説の海賊が甲板で寝かされるのか!?

…知らないにゃ。
その夜
その夜。パウト船長は毛布一枚で甲板に転がされていた。

さむい…めんどくせー…
小さな足音。ネンネが毛布をもう一枚持ってやってきた。

…これ。

ネンネ…?

…べつに。寒くて風邪ひかれたら、うるさくて眠れないにゃ。
ネンネはそれだけ言うと、くるりと戻っていった。

…ふっ。やっぱ日記の通りじゃねぇか。
甲板に転がったまま、パウト船長は星を見上げて笑った。

また明日もゆるく行こうぜ⚓
ネンネの日記の最後のページには、こう書いてあった。「みんな、ポンコツにゃ。でも…ネンネの大事なともだちにゃ」…と。
このお話を楽しんでいただけましたか?
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